4月26日は、世界知的所有権機関(WIPO)を設立する条約が発効した日に由来して、「世界知的所有権の日」に指定されています。
知的財産が日常生活で果たす役割についての理解を深め、発明者や芸術家の社会の発展への貢献を記念するこの日に合わせ、毎年、世界中で様々な記念行事が開催されます。
WIPO日本事務所では、翌日の4月27日(月)に、2020年のテーマ「環境にやさしい未来のための革新」の下、
緑の未来に向けたイノベーションについて、ノーベル化学賞受賞者や財界著名人をはじめとした各界でご活躍されている方々によるご講演、パネルディスカッションなどからなるシンポジウムを開催します。
是非、ご参加ください。
今日、主要企業の企業価値の8割強が無形資産といわれています(図1)。目に見えない資産である無形資産の多くは、特許や著作権などの知的財産となります。無形資産の比率、そして、世界における知的財産制度の役割は、この半世紀で大きく飛躍しています。
日本も、その例外ではありません。むしろ、技術立国と呼ばれる日本は、特許制度により、多くの研究開発が促され、今世紀に入り、自然科学部門で米国に次いで世界第2位のノーベル賞受賞者数を誇っています。また、古事記や日本書紀、万葉集、源氏物語などの著作をはじめ、1000年以上も前から、日本文学は長くはぐくまれてきました。日本の歴史の長さは、文学や技術のみならず、地方ごとの産業や文化を醸成し、世界的に知られる多くの地理的表示(G.I.)や伝統芸能(フォークロア)を生んでいます。さらに、世界を代表するデザイン賞独IFデザインアワードにおいても金賞の15%を日本が占める(2019)など、日本のデザイン力は、そのブランド力とともに高く評価されています。このように、日本は、特許権、著作権、地理的表示、フォークロア、商標権、意匠権、さらには営業秘密、回路配置権や育成者権、商号や商品等表示に至るまで多くの知的財産に恵まれています。
WIPO(本部はスイスのジュネーブ)は、国際的な知的財産権制度の発展を所管する国際連合(UN)の専門機関です。加盟国数は、日本を含む193か国、知的財産権に関する26の国際条約を管理しています(2020年3月現在)。
知的財産制度は、特許、意匠、著作権等を通じて、経済発展に必要な革新や創造性を促進・普及しつつ、商標と不正競争防止法等を通じて、不確実性や混乱、詐欺への対策に取り組み、市場秩序を確立するための手段を提供します。