新型コロナウイルスの感染拡大を受け、
本シンポジウムの2020年4月27日(月)の開催を中止することといたしました。
再び開催する際には改めて周知を行う予定です。
この度は、本シンポジウムにご関心をいただき誠にありがとうございました。

今後もWIPO日本事務所の活動にご関心をいただけましたら幸いです。
WIPO日本事務所の活動内容はこちら

概要

4月26日は、世界知的所有権機関(WIPO)を設立する条約が発効した日に由来して、「世界知的所有権の日」に指定されています。
知的財産が日常生活で果たす役割についての理解を深め、発明者や芸術家の社会の発展への貢献を記念するこの日に合わせ、毎年、世界中で様々な記念行事が開催されます。

WIPO日本事務所では、翌日の4月27日(月)に、2020年のテーマ「環境にやさしい未来のための革新」の下、 緑の未来に向けたイノベーションについて、ノーベル化学賞受賞者や財界著名人をはじめとした各界でご活躍されている方々によるご講演、パネルディスカッションなどからなるシンポジウムを開催します。
是非、ご参加ください。



プログラム

2020年世界知的所有権の日(World IP Day)記念シンポジウム
~環境にやさしい未来のための革新~

※プログラム内容は変更となる可能性があります。
13:15~13:20
開会挨拶 澤井智毅(WIPO日本事務所長)(5分)
13:20~13:40
新浪剛史様ご講演1 新浪剛史様(20分)
-サントリーホールディングス株式会社 代表取締役社長
サントリーホールディングス株式会社は日経BP による環境ブランド調査で3 年連続首位を獲得しました。
13:40~14:10
ご講演2 三又裕生様(30分)
-内閣府 知的財産戦略推進事務局長
14:10~14:40
ご講演3 高校生グループ(30分)
東京都立高校に通う高校生。日本の中高生に対する知的財産の普及啓発活動に取り組んでいます。
 
休憩(10分)
14:50~15:50
パネルディスカッション
「環境に優しい未来へ向けたオープンイノベーションと知財」(60分)
【パネラー】
・久慈直登様(一般社団法人日本知的財産協会 専務理事)
・長澤健一様(キャノン株式会社 常務執行役員 知的財産法務本部長)
・山本雅史様(ダイキン工業株式会社 執行役員)
・高倉成男様(明治大学法科大学院教授)
・中堅企業代表者
【モデレーター】
・澤井智毅(WIPO 日本事務所長)
 
休憩(10分)
16:00~16:30
吉野彰様ご講演4 吉野彰様 (30分)
-2019年ノーベル化学賞受賞者
-旭化成名誉フェロー
受賞の対象となったリチウムイオン電池は、電気自動車や再生可能エネルギーの蓄電等を通じ、環境に優しい未来への貢献が期待されています。
16:30~17:00
ご講演5 産業界 (30分)
17:00
閉会
※当日は、会場ロビーにて「第77 回全国日本学生児童発明くふう展」の入賞作品(WIPO 賞を含む)及び企業の環境技術の展示も行う予定です。

WIPO日本事務所について

1.所長からのメッセージ

 今日、主要企業の企業価値の8割強が無形資産といわれています(図1)。目に見えない資産である無形資産の多くは、特許や著作権などの知的財産となります。無形資産の比率、そして、世界における知的財産制度の役割は、この半世紀で大きく飛躍しています。

図1

 日本も、その例外ではありません。むしろ、技術立国と呼ばれる日本は、特許制度により、多くの研究開発が促され、今世紀に入り、自然科学部門で米国に次いで世界第2位のノーベル賞受賞者数を誇っています。また、古事記や日本書紀、万葉集、源氏物語などの著作をはじめ、1000年以上も前から、日本文学は長くはぐくまれてきました。日本の歴史の長さは、文学や技術のみならず、地方ごとの産業や文化を醸成し、世界的に知られる多くの地理的表示(G.I.)や伝統芸能(フォークロア)を生んでいます。さらに、世界を代表するデザイン賞独IFデザインアワードにおいても金賞の15%を日本が占める(2019)など、日本のデザイン力は、そのブランド力とともに高く評価されています。このように、日本は、特許権、著作権、地理的表示、フォークロア、商標権、意匠権、さらには営業秘密回路配置権育成者権商号商品等表示に至るまで多くの知的財産に恵まれています。

図2
 資源の乏しい日本において、無形資産の比重が高まる今日こそ、日本の強みである知的財産を有効に活用しなければなりません。一方、日本が知財立国を宣言して20年近くが経過しましたが、いまだに企業や大学等での知財の意識は総じて低いままです。知財戦略を自社の強みと認識する経営層はほぼ皆無との調査結果さえあります(図2)。また、日本企業が特許を売買する場合、特許一件の価値は米国企業が行う場合に比べ、極めて低いとの報告もあります。

澤井智毅
 人口減少が始まった日本が国際競争力を維持し、引き続き世界の発展に貢献していくためには、付加価値のある製品やサービス、さらには価値観を一変させる破壊的テクノロジーが必要となります。私たち、世界知的所有権機関(WIPO)日本事務所は、発明者やエンジニア、創作者、芸術家の皆様が一層評価されるよう、知的財産制度の意義や役割を、「伝道師」として、広く国内外に足を運び、積極的に機会をとらえ、発信してまいります。この際、日本や世界の将来を担う中小企業、起業家、学生の皆さまへの啓発にも力を注いでまいります。また、当事務所は、日本政府の代名詞ともいえる「霞ヶ関」に位置しています。国際連合(UN)の専門機関である世界知的所有権機関と知的財産制度を所管する日本の関係府省や知的財産高等裁判所をはじめとした裁判所との橋渡し役に努めてまいります。

2.世界知的所有権機関(WIPO)とは

 WIPO(本部はスイスのジュネーブ)は、国際的な知的財産権制度の発展を所管する国際連合(UN)の専門機関です。加盟国数は、日本を含む193か国、知的財産権に関する26の国際条約を管理しています(2020年3月現在)。

 知的財産制度は、特許、意匠、著作権等を通じて、経済発展に必要な革新や創造性を促進・普及しつつ、商標と不正競争防止法等を通じて、不確実性や混乱、詐欺への対策に取り組み、市場秩序を確立するための手段を提供します。

 WIPOは、1967年に設立されて以来、国際的な知的財産権関連条約や基準について、国際的な議論を行う場を提供し、各国政府による開発戦略の一環としての知的財産の活用を支援し、様々な団体や企業を対象に知的財産権関連の研修を実施しています。また、一般ユーザー向けには、複数の国で知的財産権を確保するための国際特許出願制度、国際商標登録出願制度、国際意匠登録出願制度や、紛争を解決するためのサービスを提供しています。さらに、知的財産の情報を集めた各種データベースも無料で提供しています。

3.WIPO日本事務所の役割

  • (1)知財制度のプロモーション
     資源の乏しい日本において、無形資産の比重が高まる今日こそ、日本の強みである知的財産を有効に活用し、イノベーションや文化、そして人類の繁栄に寄与していくことが求められます。一方、日本の企業や研究・教育機関において、知的財産戦略を強みと認識する経営層や代表はほとんどいないとの経済産業省の報告もあります。
     知財の重要性を踏まえ、多くの国々において、知財制度が整備され、重視される中、WIPO日本事務所は、特許、著作権、地理的表示、フォークロア、商標、意匠をはじめとした知的財産制度の意義や役割を、国内外のシンポジウムや講演会等を通じ、積極的に発信しています。
  • (2)日本政府や裁判所との連携
     当事務所は、東京都千代田区霞が関に住所を置く、数少ない国際機関の駐日事務所です。地の利を活かし、国際連合(UN)の専門機関である世界知的所有権機関(WIPO)と、内閣府、外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、環境省、文化庁、特許庁、公正取引委員会などの知的財産制度を所管する日本国政府や知的財産高等裁判所をはじめとした裁判所との橋渡し役を担っています。
    特に、日本国政府による世界知的所有権機関(WIPO)への任意拠出金による連携、各種施策や条約等の調整、知財制度の普及啓発、途上国協力の推進、SDG達成に向けた協力等、また最高裁との知財判例データベースの協力等を行っています。
  • (3)国際出願制度の普及
     知的財産制度、とりわけ特許、商標、意匠等の産業財産権の有効活用の前提として、事業を行う国々や地域での権利の確保が必要となります。国や地域によって異なる制度の中で、国際的な権利を円滑に確保することは容易ではありません。世界の国々での制度や手続きの調和を目指すとともに、世界知的所有権機関(WIPO)が所管する国際出願制度の利用をさらに促すことも重要です。当事務所は、各種説明会での情報提供や、日本語による問い合わせ対応、個別企業訪問によるヒアリングなどを通じて、日本における当該制度の普及を図っています。
    また、2019年は1年間で全国51カ所で説明会を開催(4,224名参加)し、119の企業を訪問するなどプロモーションに努めており、日本からの国際出願については、増加傾向にあります。

    また、日本のユーザ―からの各国際出願制度に関する電話やメールでの問い合わせも受け付けており、WIPO本部ではできない日本語による実務的な質問への回答などのユーザーサポートの提供や日本のユーザ―の声をWIPOの各サービスの向上に反映させる努力も行っております。
  • (4)途上国協力
     日本での特許制度の歴史は既に130年を超えています。特許制度等は、19世紀の開国以来、日本の発展に大きく貢献しました。こうした日本の経験は、発展途上国にも有用なものとなります。当事務所は、日本国政府によるWIPOへの任意拠出金を用いて、IP Advantageデータベース(知財活用事例のデータベース)等を通じた途上国への情報提供、知財分野における途上国人材の育成等を行っています。

    IP Advantageデータベース~
    WIPOが保有する世界各国におけるビジネス上の知財活用事例(ケーススタディ)を集めたデータベースです。WIPO日本事務所は、途上国協力に向けて、事例を追加するなどデータベースの管理を行っています。2019年8月現在、IP Advantegeの全体の事例219件のうち、アフリカにおける事例が32件収録されています。主に途上国の方々にビジネスの現場で知財がどのように役立っているか、知財が経済発展にどのように貢献するかについて情報提供することを目的としています。
  • (5)地球規模課題への対応
     WIPOはSDGs達成へ向けた様々な取り組みを行っています。全ての人に役に立つ知財制度の発展を通じて目標 9「産業と技術革新の基盤をつくろう」へ貢献することを中心として、例えば、目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標13「気候変動に具体的な対策を」などに貢献する地球規模の課題への対応も進めています。地球温暖化等の環境問題に対する取り組みである「WIPO GREEN」は、日本の産業界から提案され、今日では世界知的所有権機関(WIPO)の主要な施策の一つに数えられています。当事務所は、この「WIPO GREEN」や、顧みられない熱帯病の撲滅に向けた取り組みである「WIPO Re:Search」などへの日本からの参加を促すなど、SDGs達成へ向けた活動を行っています。

    ① WIPO Green
     地球温暖化等の環境問題を解決するための環境技術の技術移転を進めるためのWIPOが運営するグローバルなプラットフォームです。WIPO GREENが有するデータベースには、世界中から3300以上の環境技術や環境技術を必要とするニーズの情報が登録されています。また、世界中から100以上の機関がWIPO GREENパートナーとして参加し、WIPO GREENを戦略的に支えています。
    日本からは、日本国特許庁、日本知的財産協会をはじめ、富士通株式会社、株式会社キヤノン、トヨタ自動車株式会社、パナソニック株式会社、株式会社日立製作所、ホンダ技研工業株式会社など、世界で最も多い19のWIPO GREENパートナーが参加しています(2020年4月現在)。
    ② WIPO Re:Search
     顧みられない熱帯病(NTDs)、マラリア及び結核に対する医薬品の開発を促進するためのWIPOが運営するグローバルなプラットフォームです。米国シアトルに基盤を置くNGOであるBIO Ventures for Global Healthがパートナーシップのハブとなり、NTDs等に対する医薬品の開発へ向けて、WIPO Re:Search参加機関間の共同研究や研究協力のマッチングを進めています。日本からは、株式会社エーザイ、武田薬品工業が参加しています。
  • (6)知財制度を促すための調査研究
     知的財産制度は、研究開発が活発な先進国のイノベーションに資するのみならず、途上国における知的財産保護の強化は、海外直接投資を通じた技術移転を促進するとともに、長期的なイノベーションをも活発化させるとの報告もあります。本事務所は、必要な調査研究を進め、知的財産制度が、途上国を含めた世界全体の発展に貢献することを国内外に示していきます。
     また、WIPOが行う各種報告書等やテキストを適時に公表し、日本国内の研究や教育に貢献してまいります。
    WIPOの報告書の代表的なものに、「Global Innovation Index(GII)」という、世界129か国のイノベーションのパフォーマンスを、80以上の指標(Index)に基づいてランク付けした報告書があります。最新のGII 2019によりますと、日本は第15位で、例えば、日本の強みは、グローバルR&Dへの企業支出(5)、OECDによる国際的な生徒の学習到達度調査(PISA)結果(3)、国内競争の激しさ(1)、国内市場規模(4)、特許出願(1)、PCT出願(1)などに、日本の弱みは、起業のしやすさ(74)、ベンチャーキャピタル取引(51)、海外から投資されるR&D(94)、海外直接投資流入(121)、ICTサービスの輸出(98)などに見られます(括弧内は順位)。
  • (7)将来のIT化に備えて
     近年の人口知能(AI)技術の発展やビッグデータの利用範囲の拡大は、知的財産保護のあり方を問う政策面の課題とツールとしての活用という実務面での課題を生んでいます。  WIPOは、政策面では、2019年9月にAIと知財に関するWIPO会議を開催し、その結果を受けて、現在AIと知財との関係で議論が必要とされる論点を整理して「知財政策とAIに関する論点書」として発表しました。当該論点書について、2020年2月14日までの期限でパブリックコメントを行い、日本政府や産業界をはじめ250以上の意見が世界から寄せられました。今後、寄せられた意見を踏まえて論点書は修正され、次回のAIと知財に関するWIPO会議(2020年5月開催予定)にて議論される予定です。
     また、WIPOは、実務上、AIを積極的に活用し、機械翻訳技術、イメージサーチ技術、自動分類技術等の開発を進めています。WIPOの機械翻訳技術は特許文献に特化して学習させているため特許文献の翻訳については制度の高いものになっており、「WIPO Translate」として、WIPOの特許文献データベース「PATENTSCOPE」からご利用いただけます。
     さらに、WIPOは、AIに関する特許文献や論文における技術動向を調査してまとめた「WIPO Technology Trends – Artificial Intelligence」を2019年に発表しました。当該調査によると、AI関連の特許出願は2006年の8,515件から2017年の55,660件まで急増したことが分かります。また、AIに関する世界の特許出願件数の上位企業20社のうち12社が日本企業になっています。
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